家でやることが多い人ほど、寝る場所を分けた方がいいのかもしれない
これは、私が引っ越しや部屋の配置換えを通して考えるようになった、個人的な仮説です。
賃貸を探すときは、家賃、広さ、駅からの距離など、いろいろな条件を考えます。でも、そもそも部屋の数は、何を基準に決めればいいのでしょうか。
私は、「家で何をするのか」と「寝る前に何が見えるのか」も、部屋選びの条件に入れてよいのではないかと考えています。
眠れそうだったのに、頭が作業へ戻った
眠れない理由には、騒音や光、室温、カフェイン、生活リズム、ストレスなど、さまざまなものがあります。私がここで書きたいのは、それらを否定する話ではありません。
私自身に、別の気づきがあったという話です。
あるとき、「ああ、眠れそうだ」と思った瞬間に、作業で修正しなければならない点に気づき、急に目が冴えてしまいました。
気づいた内容そのものより、頭がもう一度「作業をする側」へ戻ったことの方が、眠りを遠ざけたように感じました。
そのとき、眠れないのは考え事があるからだけではなく、次の作業を見つけ、再開してしまう状態が、寝る場所まで続いているからではないかと考えました。
家でやることが多い人の部屋選び
仕事、ゲーム、動画、読書、ものづくり。家は、休む場所であると同時に、たくさんの活動をする場所にもなります。
これらをすべて同じ空間で行うと、体は横になっていても、頭の中では仕事や娯楽の続きが始まることがあるかもしれません。
仕事机が見えれば、やり残した作業を思い出す。趣味の道具が見えれば、続きをやりたくなる。スマートフォンが手元にあれば、もう一つ何かを見たくなる。
どれも、昼間なら問題のないことです。ただ、寝ようとしているときは、その「続き」が始まりやすい部屋ではない方が、私には合っているようです。
外で一日を過ごし、家ではほぼ寝るだけの人と、家で仕事や趣味をたくさん行う人とでは、同じ間取りでも使い方が違います。
だから、家でやることが多い人ほど、広さだけでなく、「何を、どこで終わらせるか」まで考えて部屋を選んだ方がいいのかもしれません。
内見では、寝る場所から何が見えるかも考える
私が次に部屋を選ぶなら、間取り図の数字だけでなく、寝る場所に立ったときの視界も確かめたいと思います。
- 寝床から仕事机や画面が見え続けないか
- 作業中の物や趣味の道具を、寝る前にしまえるか
- 作業用と寝る前で、照明や座る場所を変えられるか
- 一部屋の場合でも、棚やパーティション、家具の向きで、作業と睡眠の範囲を分けられるか
完全に別の部屋を用意できなくても、視界や照明、道具の位置によって、生活の区切りを作ることはできます。
大事なのは部屋数そのものより、作業から睡眠へ切り替えられるかどうかなのかもしれません。
部屋を分けるだけでは、頭の中の作業は終わらない
もちろん、寝室を分けるだけで、考え事がすべて消えるわけではありません。未完了のことが頭の中に残っていれば、場所を変えても思い出します。
すぐにメモすれば済むことなら、一度書き出して、明日の自分に預けることもできます。
私の場合は、すでに予定がたくさん書かれた手帳より、余計な連想が始まりにくい白紙のメモの方が合いそうです。
ただし、メモを取るために作業画面を開き、そのまま作業を再開してしまうなら、私が避けたかった状態に戻ってしまいます。
部屋を分けることと、一日の作業を終わらせること。私には、どちらも必要なのかもしれません。
調べてみると、少し似た考え方があった
この仮説とまったく同じことを確かめた研究は、今回調べた範囲では見つけられませんでした。
ただ、少し似た考え方はありました。
米国睡眠医学会のガイドラインには、寝床と目が冴えた状態との結びつきを弱め、寝床を睡眠と結びつけ直す「刺激統制」という考え方が出てきます。これは、寝室を別に用意すれば眠れるという話ではありません。寝床の使い方と、眠りとの結びつきを見直す考え方です。
また、57人の健康な若い成人を対象にした小さな実験では、就寝前の5分間にこれから行う予定を書いた人たちは、すでに終えたことを書いた人たちより、平均すると早く眠りに入っていました。これも、メモさえ書けば誰でも眠れると示した研究ではありません。一晩だけの、対象も限られた実験です。
それでも、寝る場所を「次の作業を始める場所」にしないことや、未完了のことをいったん紙へ預けることは、私の仮説と重なる部分があるように感じました。
ここから先の、「家でやることが多い人は、引っ越すときに寝る場所の分け方も考えた方がいいのではないか」という部分は、今のところ私自身の経験から作った仮説です。
広さより、切り替えられるか
部屋の広さは、間取り図で確認できます。でも、その部屋で自分の頭がどう動くのかは、数字だけでは分かりません。
寝る場所から、作業の続きが見えないか。趣味の道具が、次の行動を呼び起こさないか。一日を終えるための切り替えを作れるか。
家でやることが多い人の引っ越しでは、部屋数や広さと一緒に、そんな見方も持っておいてよいのかもしれません。
私が次に内見するときは、最後に寝る場所へ立って、そこから何が見えるのかを確かめてみようと思います。
関連文献
- Edinger, J. D., et al. (2021). Behavioral and psychological treatments for chronic insomnia disorder in adults: An American Academy of Sleep Medicine clinical practice guideline. Journal of Clinical Sleep Medicine, 17(2), 255–262.
- Scullin, M. K., et al. (2018). The effects of bedtime writing on difficulty falling asleep: A polysomnographic study comparing to-do lists and completed activity lists. Journal of Experimental Psychology: General, 147(1), 139–146.